ロジスティック回帰




ロジスティック回帰とは?二択の結果を予測する機械学習アルゴリズム | AI未来予測


ロジスティック回帰:Yes/Noを予測する

マーキー: ドクターAI!前回は線形回帰について教えてもらったけど、今日は「ロジスティック回帰」について教えてほしいな。名前は似てるけど、どう違うの?
ドクターAI: やぁマーキー!良い質問だね。ロジスティック回帰は線形回帰の親戚みたいなものだけど、大きな違いがあるんだ。線形回帰が「数値」を予測するのに対して、ロジスティック回帰は「Yes/No」のような二択の結果を予測するんだよ。
マーキー: 二択?例えばどんな感じ?
ドクターAI: 例えば、「このメールはスパムかどうか」「この取引は不正かどうか」「この患者は特定の病気にかかっているかどうか」といった問題を解決するのに使われるんだ。つまり、答えが「はい」か「いいえ」の問題だね。機械学習の世界では、これを「分類問題」と呼ぶよ。
マーキー: なるほど!でも、なんで「回帰」って名前がついてるの?分類なのに。
ドクターAI: 鋭い質問だね!実は、ロジスティック回帰は内部的には確率を予測しているんだ。例えば「このメールがスパムである確率は87%」というように。そして、その確率が一定の閾値(例えば50%)を超えたら「Yes」、そうでなければ「No」と判断するんだよ。この確率を予測する部分が「回帰」的な性質を持っているんだ。

【図解:線形回帰とロジスティック回帰の違い】

線形回帰 ロジスティック回帰
・連続的な数値を予測
・例:家の価格、売上高
・二択の結果を予測
・例:合格/不合格、スパム/非スパム
・出力は任意の実数
・y = wx + b
・出力は0〜1の確率
・p = 1/(1+e^-(wx+b))

シグモイド関数:確率への変換

マーキー: でも、どうやって数値から確率に変換するの?
ドクターAI: それには「シグモイド関数」という特別な関数を使うんだ。この関数は、どんな数値を入れても0から1の間の値を出力してくれるんだよ。これを確率として解釈するんだ。
マーキー: シグモイド関数?それってどんな形なの?
ドクターAI: シグモイド関数はS字型のカーブを描くんだ。数式で表すと「f(x) = 1/(1+e^(-x))」となるよ。ここで「e」は自然対数の底で約2.718という数値だけど、詳しい計算は気にしなくていいよ。
マーキー: うーん、ちょっと難しいな…
ドクターAI: 心配しないで!例えで説明するね。タイムマシンのアクセルを考えてみよう。アクセルを踏む強さ(入力値)に応じて、タイムマシンが未来に飛ぶ確率(出力値)が変わるとしよう。アクセルを全く踏まなければ確率は0%に近く、思いっきり踏めば確率は100%に近づく。でも、アクセルの効き方はリニアじゃなくて、最初はゆっくり、中間で急に、そして最後はまたゆっくりと確率が上がっていくんだ。これがシグモイド関数のイメージだよ!

【図解:シグモイド関数】

f(x) = 1/(1+e^(-x))

特徴:
• 入力値が大きくなると出力は1に近づく
• 入力値が小さくなると出力は0に近づく
• 入力値が0のとき、出力は0.5
• S字型のなめらかなカーブを描く

マーキー: タイムマシンの例えで分かりやすいよ!じゃあ、ロジスティック回帰はどうやって学習するの?
ドクターAI: ロジスティック回帰の学習は、線形回帰と似ているけど少し違うんだ。「最尤推定法」という方法を使って、訓練データに最もフィットするパラメータ(重みとバイアス)を見つけるんだよ。具体的には「交差エントロピー」という損失関数を最小化するように学習していくんだ。
マーキー: 最尤推定法?交差エントロピー?難しい言葉が出てきたね…
ドクターAI: ごめんね、専門用語が多くなっちゃった。簡単に言うと、「予測が間違っていたらペナルティを与える」という方法で学習するんだ。特に、確信を持って間違った予測をした場合(例:「これは絶対にスパムじゃない!」と言ったのに実際はスパムだった場合)には大きなペナルティを与えるんだよ。これによって、モデルは慎重に予測するようになるんだ。

ロジスティック回帰の実際の応用例

マーキー: なるほど!実際にロジスティック回帰はどんな場面で使われているの?
ドクターAI: ロジスティック回帰は様々な分野で活用されているよ!いくつか例を挙げてみるね:
ドクターAI: まず、医療分野では患者の症状や検査結果から特定の病気にかかっているかどうかを予測するのに使われるんだ。例えば、年齢、血圧、コレステロール値、喫煙歴などから心臓病のリスクを予測するモデルが作られているよ。
マーキー: それは役立つね!他にはどんな例があるの?
ドクターAI: 金融分野では、ローンの審査に使われることが多いんだ。申込者の年収、職業、信用履歴などから、ローンを返済できるかどうかを予測するんだよ。また、クレジットカードの不正利用検出にも使われているよ。普段と異なる使い方をしていないかをチェックして、不正利用の可能性を予測するんだ。
マーキー: へぇ〜、そういえば海外で買い物したときに、カード会社から確認の電話がかかってきたことがあるよ!
ドクターAI: そうそう、それはまさにロジスティック回帰のような分類アルゴリズムが働いている例だね!他にも、マーケティングの分野では「このお客さんは広告をクリックするかどうか」「このユーザーは商品を購入するかどうか」といった予測に使われているよ。

【図解:ロジスティック回帰の応用例】

分野 入力変数(特徴量) 予測対象(二択)
医療 ・年齢
・血圧
・コレステロール値
・喫煙歴
心臓病リスクあり/なし
金融 ・年収
・勤続年数
・信用履歴
・負債額
ローン返済可能/不可能
マーケティング ・過去の購買履歴
・ウェブサイト滞在時間
・クリック履歴
・人口統計情報
商品購入する/しない

ロジスティック回帰の長所と短所

マーキー: ロジスティック回帰って便利そうだね!何か弱点はあるの?
ドクターAI: もちろん、どんな手法にも長所と短所があるよ。まず長所から説明するね。
ドクターAI: ロジスティック回帰の大きな長所は、シンプルで解釈しやすいことだね。各特徴量(入力変数)がどれくらい予測に影響しているかを数値で表現できるから、「なぜそのような予測になったのか」を説明しやすいんだ。また、計算コストが低いので、大規模なデータセットでも比較的速く学習できるよ。
マーキー: なるほど!じゃあ短所は?
ドクターAI: 短所としては、複雑な関係性を捉えるのが苦手なことが挙げられるね。ロジスティック回帰は基本的に「線形」の決定境界しか作れないんだ。つまり、特徴量の間に複雑な相互作用がある場合や、非線形の関係がある場合には、うまく予測できないことがあるよ。
マーキー: 線形の決定境界って何?
ドクターAI: いい質問だね!2次元の例で説明すると、ロジスティック回帰は「直線」で2つのクラスを分けるんだ。例えば、身長と体重のデータから男性か女性かを分類する場合、ロジスティック回帰は「この直線より上は男性、下は女性」というような境界線を引くことしかできないんだよ。
マーキー: でも、そんな単純な境界線じゃ分けられない場合もあるよね?
ドクターAI: その通り!そういう場合は、特徴量を工夫したり(例えば身長と体重の比率を新たな特徴として追加する)、もっと複雑なモデル(サポートベクターマシンやニューラルネットワークなど)を使ったりする必要があるんだ。

【図解:ロジスティック回帰の長所と短所】

長所 短所
・シンプルで解釈しやすい
・計算コストが低い
・過学習しにくい
・確率として出力される
・複雑な関係性を捉えられない
・線形の決定境界のみ
・特徴量間の相互作用を自動で学習できない
・外れ値の影響を受けやすい

多クラス分類への拡張

マーキー: ロジスティック回帰は二択の予測だけなの?3つ以上の選択肢がある場合はどうするの?
ドクターAI: 素晴らしい質問だね!基本的なロジスティック回帰は二項分類(二択)のためのものだけど、「多項ロジスティック回帰」や「ソフトマックス回帰」と呼ばれる拡張版を使えば、3つ以上のクラスも分類できるんだよ。
マーキー: どうやって?
ドクターAI: 簡単に言うと、各クラスに対して「このクラスである確率」を計算して、最も確率が高いクラスを選ぶんだ。例えば、手書き数字の認識では、入力された画像が0から9までの各数字である確率を計算して、最も確率が高い数字を予測結果とするんだよ。
マーキー: なるほど!でも、それって10個の二項分類をするってこと?
ドクターAI: 実はそれに近い方法もあるよ!「one-vs-rest」(1対残り)というアプローチでは、各クラスに対して「このクラスか、それ以外か」という二項分類器を作るんだ。でも、多項ロジスティック回帰では全てのクラスを同時に考慮して学習するから、より効率的で精度も高くなることが多いんだよ。
マーキー: ドクターAI、今日はロジスティック回帰について詳しく教えてくれてありがとう!二択の予測ができるなんて、すごく実用的だね。
ドクターAI: どういたしまして、マーキー!ロジスティック回帰は機械学習の基本的なアルゴリズムだけど、今でも多くの実用的な問題解決に使われているんだ。次回は「サポートベクターマシン」について話そうか。これはもっと複雑な決定境界を作れる分類アルゴリズムなんだよ。
マーキー: 楽しみにしてるよ!ヘビー!

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